2025.05.23
PICK UP
05
#加美町
職人がつくる『加美クラフト』を求め、
中新田商店街をめぐる①

仙台市中心部から車で1時間ほどのところにある加美町。もち米や山菜、豊かな自然で有名ですが、職人文化が色濃く残る町という一面もあります。特に、町の中心部にある中新田商店街では、一流の技術を誇る職人が現在も腕をふるっています。
商店街にある職人たちのお店を線で結ぶと、ちょうど三角形のような形になります。加美町ではその三角形を「加美クラフトトライアングル」と名付け、より多くの人々へ町のものづくり文化を知ってもらおうと取り組んでいます。今回は、そんな加美クラフトトライアングルに、町文化や技術を発信するギャラリーをプラスワンとして加えた4つの場所をご紹介します。
100年使える製品を作る「加美工芸」
革靴職人と工芸品、二つの道を極める佐々木康樹さんが代表を務める加美工芸では、加美に自生する山葡萄のつるやクルミの皮を使った工芸品を制作しています。特に、丈夫な材料を丹念に加工し作られる山葡萄の工芸品は、100年先まで保つのだそうです。

そのクオリティはすでに世界中の目利きから注目の的になっているそうで、海外から買い求められることもあります。
材料となる山葡萄は、本来ならば廃棄されてしまっていたものです。限りある地域の資源を活用するという観点で見ても、加美工芸の製品は非常に優れています。
「県内で工芸のワークショップを開催しています。そういった活動を続けて、いずれは加美町を山葡萄工芸の聖地にして、ワーッと盛り上げることができればいいなと思います」

30年以上加美町から文化を発信し続ける工藝 蘭學舎
中新田商店街から5分ほど歩くと、教会のように美しい佇まいの建物が見えてきました。ギャラリーと工芸品店という2つの顔をもつ工藝 蘭學舎です。東北を中心とした各所から集められた逸品が展示・販売されていて、ラインナップの中には、加美工芸の作品もあります。

加美町で30年以上も芸術と文化を発信し続けているゼネラルマネージャー・笠原冬実さんに、加美のものづくりについて伺いました。
「加美町はものづくりが昔から盛んなことに加え、工芸に関心の高い方が多いです。町の中にも、30年間変わらずギャラリーに足を運んでくださっている方もいます」
職人文化にリスペクトを持つ方々が多いからこそ、加美町のものづくり文化は育まれてきたのかもしれません。
「展示テーマの設定やワークショップの開催で世代の境界線を緩やかにして、素晴らしい文化を若い方に繋げていく工夫をしていくのが、私たちの役割だと思っています」
蘭學舎は、開館日ならばいつでも立ち寄りが可能です。まずは珠玉の工芸品に触れるところから始めませんか。

職人が躍動する工芸の町、加美。
第2弾のレポートでは、若手の職人が活躍する酒蔵と、加美町に残る唯一の刃物職人のご紹介をします。