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#柴田町

宮城県の象徴は
柴田で生まれた!?
「伊達政宗を創った人物」小室達氏

「伊達政宗公騎馬像」の作者の出身地、柴田町

 宮城県が紹介されるとき、青葉城跡に立つ勇猛果敢な伊達政宗公の騎馬像が一緒に映り込んでいるのを見たことがある方は多いのではないでしょうか。
 そんな宮城県のアイコンのひとつである「伊達政宗公騎馬像」は、一体誰が製作したのでしょうか?
 答えは小室達氏。柴田町出身の彫刻家です。
 青葉城に設置された騎馬像は、観光地としても人気を誇っています。また、約1/2サイズのものは仙台駅の牛タン・寿司通りにて展示されており、杜の都を訪れた方々のお出迎えを担っています。
 今回は、小室達氏の素顔と功績をRe:Scoverするために柴田町へと向かいました。


政宗公騎馬像の作者・小室達ってどんな人?

 柴田町にある『しばたの郷土館』学芸員の岡山卓矢さんが、小室氏について説明してくれました。
「1899年に生まれた小室達は、超難関と言われている東京藝術大学の前身・東京美術学校彫刻科に入学し、同科を主席で卒業しています」
 それだけを聞くとTHE・芸術家というイメージが浮かびますが、実際の小室は美術界で活躍する一方で、宮城県内の小学校に置く像を制作したり、仙台の「政財界人」や「素封家」「名士」から依頼された個人の銅像を作ったりと、地域に根ざした作家でもあったそうです。伊達政宗公騎馬像も、「郷土出身の作家に制作してほしい」という地元からの要請に応えて制作をしています。

 「新幹線もない時代に、午前は東京で制作をし、午後は仙台へ行って人物像の依頼者に会いに行くといった行動を頻繁にしているんです。非常にフットワークが軽いですね」
 まるで小室と直接話をしたように滑らかに詳細を語る岡山さん。それもそのはず、小室は筆マメな人で、制作過程を事細かく記録した日記を大量につけていました。日記の一部は現在でもしばたの郷土館で読むことができます。当時の美術資料としても大変貴重な日記の公開は、全国各地で待ち望まれています。
 しばたの郷土館では、小室氏の生涯や作品に加え、代表作である伊達政宗公騎馬像の石膏像の一部を見ることができます。政宗公とこんなに近くで対峙することができる場所は、しばたの郷土館しかありません。ぜひ宮城県が生んだ稀代の彫刻家・小室の生まれ故郷の柴田町へと足を運んで、政宗公と静かに向かい合う贅沢な時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。